伝える『心』を


大切にできる話し手の養成を


有限会社ハートリンク福岡アナウンススクール 代表取締役 川上政行さん

Profile 1956年生。 広島出身。法政大学卒業後、1980年MRT宮崎放送入社。TXN九州(現TVQ)の報道制作部などを経て、現在RKB今日感テレビテレビキャスター担当。2004年12月有限会社ハートリンク設立。

誰もが一度は憧れを抱く花形の職業・アナウンサー。アナウンサーになるため必要なのはどんな訓練、どんな人間性なのか。現在RKB今日感テレビキャスターを務め、アナウンサー養成スクール代表もされている川上アナウンサーにお話を伺いました。
(文章:西南学院大学商学部3年 武藤花奈)

福岡の地でアナウンサー養成を

 就職活動、特にアナウンサー受験に関して、東京と福岡で学生の意識の違いは画然としている。川上さんご自身も東京での受験戦線の経験を振り返り、東京でこの狭き門を目指す学生は大学1、2年からスクールに通い訓練を積む場合が多いが、福岡では採用試験数ヶ月前になってやっと動き出す学生の姿が見受けられるという。「もう少しはやく来たらよかったね、残念だね」

 アナウンサーになりたいと試験直前にスクールを見学にきた福岡の学生に、こう言わざるを得ないことがしばしばあるそうだ。「刺激が少ない環境の違いで、九州の学生が東京の学生に負けてしまうのはくやしいじゃないか」と、地元の学生を応援する気持ちからアナウンススクール設立へといたった。

   「東京と同レベルのアナウンス技術を学び、
              そしてモチベーションを高めあえる仲間と出会えるような良い環境を提供したい」     

 福岡アナウンススクールは放送界の現役講師陣を迎え、奥様川上明子さんとの二人三脚で、少人数制のとてもアットホームな雰囲気で運営されている。スクールには、生徒が、本当に狭き門であるアウナンサー採用試験に何10社と落ちて精神的に落ち込んではまた立ち上がる姿、仲間と支えあえる空気がある。「最初はメソメソしてばかりいた学生が、強く変わっていく姿をみるのが本当に嬉しくてやりがいを感じますね」とおっしゃる川上ご夫妻の表情は、講師ではなくわが子を育てる父親と母親そのものに思えた。     

声は人なり言葉は人格なり

 アナウンサーに必要とされる能力は何だろうか。たいていの人が思い浮かべるのは話し方の技術、コミュニケーションカ、容姿の美しさなどではないだろうか。答えは予想外であった。「思いやる心、気配りや神経を回せて、礼儀、常識があること」当たり前のことが当たり前にできることが「心を伝える仕事」にはとても大切なのだそうだ。いくら見た目を着飾っても取り繕っても、カメラのレンズから、言葉に話し手の本当の人格が現れてくる。

 「嬉しいニュースを一緒に喜び、悲しいニュースは涙をこらえるような話し手と一緒に仕事がしたい」と優しい表情でおっしやっていた。そして、「学校の位置づけも昔と変わって、当たり前のことができない学生が多くなっているし、学ぶ場もなかなかない。このスクールが人間的成長と、良い仲間との出会いの空間になったらいいなと思いますね」とおっしゃった。

言葉と言葉で伝えあう仕事

 アナウンサーという仕事のやりがいについて川上アナウンサーは、「テレビという瞬時に情報を伝えることができる最強媒体。これを通すと自分の言葉の影響力がとても大きくなる。その反面、言葉はダメージにもなる可能性もあり、10年築いた信頼が一言で崩れることもある。視聴者にどう受け取られるかもわからないし、責任も大きいけれど、その分やりがいは本当に大きいですね」とおっしゃった。人間は本来話すのが好きな動物である。言葉で伝え、言葉で分かり合う。

 「デジタル媒体に頼らず、もっといろんな人と直接話してほしい。学生の大半がそうであるように好きな仲間内だけで囲うのではなく、年上の大人ときちんとした敬語で接することが、自分の世界を広げることにつながるはずだ」言葉のあたたかみと重みについて改めて考えさせられた。



有限会社ハートリンク福岡アナウンススクール
〒813-0073
福岡市中央区舞鶴2-8-6クラージュ舞鶴402号
TEL:092-716-7278
FAX:092-716-7278
URL http://www.heart-link.net
【取材日】
2006年5月12日(金)
【取材記者】
西南学院大学商学部3年武藤花奈
西南学院大学法学部3年武原翔子
西南学院大学文学部3年本田菜穂
西南学院大学文学部3年野中真希
編集者:前迫昭子(福岡女子大学4年)